「防腐剤フリー」の化粧品は肌に優しい成分だけで作られているイメージがあるため人気を集めていますが、実際には防腐剤フリーの化粧品にもメリット・デメリットがあることはあまり知られていません。
防腐剤にはさまざまな種類があり、その役割は多岐にわたります。今回は、防腐剤ごとの特徴や、防腐剤フリーの化粧品のメリット・デメリットについてご紹介します。
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知っておきたい防腐剤の基礎知識
そもそもなぜ、化粧品には防腐剤が含まれているのでしょうか?
防腐剤が原因のアレルギーが嫌われる
一度開封した化粧品は、手や空気が触れることによって雑菌が付着します。雑菌の繁殖を防いで化粧品を長く使うために、防腐剤が用いられます。
開封後の化粧品を安全に使用するために配合されているのが防腐剤であり、防腐剤がなければ開封した後に雑菌が混入して、成分が変質してしまうのです。
化粧品を清潔に保つために配合される防腐剤は、お肌への影響が心配されるので、アレルギーがない人にも、防腐剤フリーの化粧品が人気を集めているのです。
新たなアレルギーリスクは抑えられている
90年代以前に使用されていた防腐剤にはアレルギーの危険性が高いものが少なくありませんでしたが、近年では防腐剤を他の成分と組み合わせることで、低濃度でも保存できる技術が開発されています。技術の進化により、かつてのように防腐剤を避ける必要はなくなっているといえます。
あなたのコスメにも入ってる?防腐剤の種類
一口に防腐剤といっても、いくつかの種類があります。基本的には人体に対する安全性の高いものに限られていますが、多量に摂取すると吐き気などの副作用が報告されているものもあります。代表的な防腐剤の種類と、その効用を見てみましょう。
防腐剤の代表格「パラペン」
「防腐剤」の代表格といえば「パラオキシ安息香酸エステル(パラペン)」と思い浮かべる人も多いことでしょう。パラペンは化粧品に最もよく配合される防腐剤で、歯磨き粉などにも使用されます。抗菌性や安全性が高いことで知られていて、少量でも安定して効果を発揮することも利点の一つです。
静菌作用がある「安息香酸(あんそくこうさん)」
「安息香酸(あんそくこうさん)」は飲食物にも幅広く使用される防腐成分で、菌の繁殖を食い止める静菌作用があり、水に溶けにくいのが特徴。「安息香(ベンゾイン)」という、香料として使用される天然樹脂から作られる成分です。
バターや乳製品にも含まれる「デヒドロ酢酸Na」
「デビドロ酢酸ナトリウム(Na)」はカビや酵母などの発育を防ぐ効果が期待される、バターやチーズなどの乳製品に用いられる防腐成分です。
一度に大量を経口摂取すると嘔吐(おうと)などの副作用がありますが、この成分を含む市販の商品をお肌につける程度なら健康被害は報告されていません。
防腐剤フリーのコスメは使い方次第
防腐剤フリーの化粧品はアルコールの配合量を増やすなど、他の成分で防腐剤の役割を補っているため、必ずしも低刺激とは限りません。防腐剤フリーの化粧品は特定の天然成分を大量に配合しているので、かえって刺激が強まるおそれもあるのです。
防腐剤フリーの化粧品を使用するときは、雑菌が混入しないように、容器の口部分には素手で触らない、化粧器具は使用後に消毒する、使用後は冷暗所で保管するなどの注意が必要です。
防腐剤はアリ?ナシ?肌質に合わせた選択を
防腐剤で肌荒れすることもあれば、防腐剤に代わる成分が肌に合わないこともあります。自分の肌質を知り、どのような商品が最適かを見極めることが大切です。
おわりに
化粧品選びで大切なのは、自分の肌に合うかどうか。成分はあくまで商品を選ぶ際のヒントととらえ、「防腐剤フリー」のキャッチコピーに振り回されないことが賢い消費者の条件かもしれませんね。
都内で営業として勤務した後、現在では美容・医療系ライターとして活動中。コスメの成分情報などマニアックなネタを好む。プライベートでは1男1女の子育てに追われ、コスメと洋服の購買欲が止まらない。